俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会

支援の声

日本欧州俳句友好大使 支援スピーチ

ヘルマン・ファンロンパイ

私は日本に来るたびに賞を頂いているようです。2013年は、松山名誉市民の称号を、2015年には「日EU俳句交流友好大使」を任命して頂きました。また、昨年は一年を通して「日ベルギー150周年友好大使」を務めました。そして今回はアジア・コスモポリタン賞を頂き、奈良を訪問してきました。

有馬先生を先頭に、俳句界の皆さまがユネスコ無形文化遺産登録に向けて努力をされています。ベルギービールも文化遺産に登録されているのですから、俳句が登録されない訳はありません。おまけに私の住まいは、ユネスコ本部のパリの近くにあります。私も「日EU俳句交流大使」として出来るだけの協力をしたいと思っています。

俳句を通してグローバル化することには、二つの大事な局面があると思います。今ほど手軽に情報交換そして文化交流が出来る時代はありません。我々は一人ひとり違ったアイデンティティを持っています。オープンな心があれば、過剰なナショナリズムに陥ったり、他者を認めないといった事態に陥ったりすることはないでしょう。先ほどブドラ大使は、今年からEUが強く打ち出していこうと決めた政策、すなわち文化外交を前面に打ち出すことのお話をされました。これはとても大事なことだと思います。それぞれの文化の優れた点を認め合うことで、お互いの国や民族に敬意を持つことができるようになるのです。俳句はその文化外交に最適なものだと思います。二つ目は、世界には三つの美意識が必要だということです。有名なロシアのドストエフスキーは、かつて美が世界を救うだろうと言いました。それは真善美の合体であると思います。俳句はそれを実現する形式になりうるのです。俳句は偽りの感性ではなく、真実の経験を詠みます。俳句詩人に不誠実な人はいません。悪人にもなれません。なぜなら、彼は自然を見て、自然の美や本質を、自然の秩序を見て詩を作っているからです。

私たちは世界の調和を夢見ています。自然の美しさや自分を取り巻く様々なものが、シンフォニーを奏でるように美しく調和することを夢見ています。そして、調和を夢見ることは、差別や偏見などのマイナスな感情の解毒剤になるのです。自然の美や身の回りの調和を詠う俳句という文芸は、私たちが夢を見る助けになるのです。きっとこれからも俳句の果たす役割は増していくことでしょう。ここに昨日、奈良で即興の句会の時に詠んだ句を紹介します。

雪の奈良 美は良し悪しを 隠しけり

Nara in the snow
Beauty is falling down
It covers right and wrong