俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会

各自治体首長のエッセイ

#4:俳句の未来への大いなる可能性を信じて

三重県伊賀市長 岡本栄
(会員誌「HI」No.134掲載)

有馬朗人先生をはじめ、俳句四協会の皆さん方が力をひとつに合わせてくださり、平成29年4月、俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会が発足いたしました。皆さんのご理解・ご協力に深く感謝申し上げます。

協議会の名誉会長には中曽根康弘元総理に就任頂きました。また協議会設立ののちには、国会議員による超党派の議員連盟もお作りいただき、会長には岸田文雄外務大臣(当時)、事務局長には盛山正仁副法務大臣(当時)が就任され、錚々たる皆さんがお集まりくださいました。

協議会会長の有馬朗人先生から、この取り組みの一翼を担うことを任された我々自治体も、より一層、無形文化遺産登録に向け注力しなければと、責任の重さを日々痛感しているところです。

伊賀市について考えてみれば、ひとえに「芭蕉力」というのでしょうか、芭蕉さんの重み、芭蕉さんを介した繋がりの深さによってここまで来ることができたという思いがあり、さらに「芭蕉力」によって登録へ近づけていきたいと願っております。

芭蕉、俳句には日本中に実に多くのゆかりの場所があり、すでに奥の細道サミットというような形で、繋がりのある市区町村があります。このサミットでは、昨年度総会で「奥の細道」をキーワードとして日本遺産への登録を推進することを決定しました。

これとは別に、私ども伊賀市と甲賀市の「忍者文化」が日本遺産に認定をいただきました。この流れの中で、「奥の細道」に加え「野ざらし紀行」や「笈の小文」など、芭蕉さんが訪れた土地へのつながりを一つひとつ紡いでいければ、さらに広がりが生まれるのではないかと思っています。

また、俳句のあるいは芭蕉の精神世界というものは17文字の中にだけに収まるものではなく、さまざまな形を持ち、広がりながら花開き、私たちに迫ってくるものだと思います。

文学だけではなく、例えばそれぞれが好きな芭蕉の句を一つ選んで、アーティストが音楽や絵画、彫刻などで表現するといった幅広い芸術というくくりの中で、俳句の魅力を表現できる場所や機会を設けることも面白いだろうと思います。

俳句をユネスコ無形文化遺産にということで、皆さんに大変ご尽力をいただいています。これは大いなる未来への可能性を秘めた事業でありチャンスであると考えますと、あらゆる方向から盛り立てていく必要があろうかと思います。どうぞ、今後ともご助力賜ります様よろしくお願い申し上げます。