俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会

各自治体首長のエッセイ

#29:おくのほそ道の風景地 草加松原でぜひ一句を

埼玉県草加市長 山川百合子
(会員誌「HI」No.160掲載)

草加市は、埼玉県の東南部に位置している人口約25万人の市です。東京都と隣接し、都心から15km 圏内に位置しているため、通勤・通学や買い物にとても便利な一方で、古い街並みも残っており、綾瀬川沿いには国指定名勝「おくのほそ道の風景地 草加松原」など、市内には歴史を感じさせる場所が数多くあります。
 本市は、日光街道の宿場町としても知られており、俳聖松尾芭蕉の『おくのほそ道』の中にも「其日 漸 早(草)加と云 宿にたどり着にけり。」とその名前が刻まれています。そのため、本市は、芭蕉が旅の第一歩を記したまちとして、『おくのほそ道』のゆかりを大切に受け継ぎ、「奥の細道文学賞」を始めとする様々な文化事業に長年にわたり取り組んでまいりました。
 そして、「おくのほそ道」の旅立ちから330年という節目の令和元年に草加市の持つ歴史的遺産や文化の香り高いまちの魅力を世界に向けてこれまで以上に発信していこうと、「おくのほそ道 草加松原国際俳句大会」を創設いたしました。
 これまで2 回開催された「おくのほそ道 草加松原国際俳句大会」は、日本語俳句部門と外国語俳句部門の募集を行っており、外国語俳句部門では英語だけではなく、フランス語でも募集を行っております。自治体としてのフランス語俳句の募集は珍しく、その結果、世界約30か国からの投句があり、日本語俳句部門と外国語俳句部門合わせて現在までに約20,000句のご応募をいただいてきました。
 最近では、テレビ番組等の影響もあり、俳句は様々なメディアで取り上げられ、世代を問わず多くの方に詠まれております。小学校や中学校でも俳句を学ぶことから「おくのほそ道 草加松原国際俳句大会」の中で、小・中・高校生の部も設け、若い世代にも俳句に慣れ親しんでもらう環境づくりを行っております。
 本市においては、今後も『おくのほそ道』のゆかりを大切にした、草加らしいまちづくりを目指すとともに、俳句を始めとする短型詩の世界を通じて、日本文化の素晴らしさを広く世界へ向けて発信してまいります。これからも俳句ユネスコ登録推進協議会の皆さまとともに、活動を推進してまいりたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。