俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会

各自治体首長のエッセイ

#11:発刊によせて

岩手県一関市長 勝部修
(会員誌「HI」No.142掲載)

一関市は、平成17年9月に7市町村が合併し、さらに平成23年9月には1町と合併して現在に至っており、人口約11万6千人の都市で岩手県で2番目に広い市です。

東北の真ん中に位置するここ一関市は、国定公園「栗駒山」をはじめ、名勝・天然記念物「厳美渓」、名勝・日本百景「猊鼻渓」、そしてお隣には世界文化遺産の「平泉」があり、豊かな自然と歴史や文化に恵まれた観光のまちでもあります。

当市の西部には、国指定史跡「骨寺村荘園遺跡」、国選定重要文化的景観「一関本寺の農村景観」があります。中尊寺経蔵別当領として、平安時代から平泉との関係が明らかであり、当時の景観が残っていることを確認できる場所も存在し、登録済みの世界文化遺産「平泉」への拡張登録を目指し、岩手県、奥州市、平泉町と連携した取り組みを行っております。

元禄2年(1689年)の旧暦5月12日に松尾芭蕉は一関市の磐井橋付近の金森邸に2晩の宿を求め、平泉を訪れたとされております。松尾芭蕉が江戸を出たのが元禄2年3月27日のことで、仙台、松島などを経て、登米を5月12日に出立し、かなりの雨だったらしく合羽を濡らしながら一関へ到着。5月13日には天気も晴れて平泉へ行き、再び夕刻に二夜庵に宿泊し、5月14日に日本海側の象潟へ向けて出立したといわれております。磐井橋付近にはゆかりの地として「二夜庵」があります。

「みちのく二夜庵俳句大会」は、この二夜庵を大会名に冠し、毎年10月に開催されています。市内小中学校の児童・生徒から約1,500句、市内外の一般の皆さんからも非常に多くの応募があり、幅広く多くの方々が俳句に親しみ、楽しんでいただけるような機会となっております。

当市においては、現在でも多数の俳句大会が開催され、中には先人の名前を大会名に冠し、功績を讃えながら俳句に取り組んでおり、市としてもこのような取り組みを支援しているところです。

貴協議会におかれましては、今後とも、協議会の活動を通じて、伝統ある俳句が世界に広く発信されることで、日本文化への理解が深まることを期待しております。