#38:俳句文化を継承していくために
愛媛県松山市長 野志克仁
(会員誌「HI」No.170掲載)
松山市は、三千年の歴史があり、日本最古といわれる道後温泉や、江戸時代までに建てられた現存12天守の一つ、松山城に加え、近代俳句の祖 正岡子規をはじめ、多くの文人や俳人を生み出すとともに、夏目漱石の『坊っちやん』、司馬遼太郎の『坂の上の雲』の舞台になるなど、「いで湯と城と文学のまち」です。
先人たちの偉業は、市内に点在する句碑や俳句ポスト、夏の風物詩「俳句甲子園」、昭和63年から続く「坊っちゃん文学賞」など、松山市の「ことばのちから」をいかしたまちづくりに受け継がれています。
また、平成26年に「俳都松山宣言」で、子規の革新精神を受け継ぎ、世界へ向かって、百年後の未来へ向かって、俳句の風を絶やさず起こし続けることを宣言しました。その翌年、俳人の夏井いつきさんを「俳都松山大使」に任命し、俳句と松山市の魅力を広く発信いただいています。
特長的な取り組みの一つ、「俳句ポスト」は、海外を含め100カ所以上に設け、年間1 万を超える投句があります。俳句文化が国の内外に一層浸透するよう期待を込め、昨年、姉妹都市であるサクラメント市に、アメリカ第1号の俳句ポストを寄贈しました。
現在、今年の夏頃の完成を目指し、漱石と子規が共に暮らした唯一の場所「愚陀佛庵」を再建しています。当時、まだ無名だった二人が、仲間たちと共に過ごし、漱石は子規に俳句を学び、文学的な創作を始め、子規は俳句革新運動を興し、日本の近代文学に大きな影響を与えました。愚陀佛庵は、日本の文学にとっても掛け替えのない宝です。
再建する愚陀佛庵は、当時の姿やたたずまいをできるだけ再現します。中庭に漱石と子規に縁がある四季折々の草花や木々を植え、二人が俳句づくりに励んだ庵で句会や茶会を楽しみます。松山の歴史を知り、発信する新たな拠点になり、未来を担うこどもたちが、友情や人とのつながり、出会いの大切さを学び、ふるさとへの愛着や誇りを育む場になるのを願っています。松山にお越しいただいた際は、是非訪れていただければ幸いです。
「HAIKU」は今や世界中に広まり、「俳句」の発信力はますます高まると考えています。これからも俳句に親しみ、俳句を楽しみ、俳句を愛するまちとして、俳句のユネスコ無形文化遺産登録に力を尽くします。


